済州島での1か月暮らし- ―都会の人々の夢

済州島での1か月暮らし- ―都会の人々の夢

ソウルで毎日同じルーティンを繰り返して暮らしていると、ふとこんな考えが浮かぶことがある。「いっそ済州で1か月暮らせたらどうだろう?」 実際、毎年およそ3万5千人がその考えを本当に実行に移している。

この記事について

都市生活者たちの夢 なぜ済州なのか? どんな人が行くのか? 実際に1か月間何をするのか? 夢と現実のあいだで

都市生活者たちの夢

ソウルで毎日同じルーティンを繰り返して暮らしていると、ふとこんな考えが浮かぶことがある。「いっそ済州で1か月暮らせたらどうだろう?」 実際、毎年およそ3万5千人がその考えを本当に実行に移している。済州での1か月暮らしは、韓国の若い世代にとって、単なる旅行以上のものになった — それはひとつの夢だ。

なぜ済州なのか?

1か月滞在できる場所は、韓国国内にも海外にも数多くある。しかし韓国人にとって、済州は特別な場所だ。飛行機でわずか1時間の距離なのに、風景はまるで別世界のように感じられる。漢拏山(ハルラサン)、オルムと呼ばれる火山丘、海、みかん畑がひとつの場所に共存しており、その自然環境は都市生活に疲れた人々を強く引きつける。広い空と低い建物は、ソウルの密集したマンション群とは対照的だ。そのコントラストだけでも、済州を選ぶ理由になる。 

COVID-19はこの流れを加速させた。リモートワークが一般化すると、ソウルにいる必要がなくなった人々が済州へ目を向け始めた。文化体育観光部と韓国観光公社のデータによると、「1か月暮らし」の検索数は2021年に前年より260%増加した。同じ頃、「ワーケーション」という言葉も登場した — 本来なら休暇でしか訪れないような場所で働く新しいスタイルであり、主に20代・30代の韓国人によって広まった。

どんな人が行くのか?

済州での1か月暮らしを選ぶ人々は実にさまざまだ。燃え尽きた会社員で休職中の人。仕事を辞め、次に何をするか考えるための1か月を必要としている人。ノートパソコンを持ってそのまま南へ向かうフリーランスやリモートワーカー。退職後に新しい生活リズムを探している中高年。これは特定世代だけの流行というより、日常から一歩外へ出たいという共通の衝動に近い。

実際に1か月間何をするのか?

済州での1か月暮らしは、旅と実際の生活の中間のようなものだ。朝はオルムを散歩し、午前中は近所のカフェで過ごし、午後は海辺やローカル市場をぶらつく。観光地を急いで回るのではなく、行きつけのカフェや食堂ができるくらい長くひとつの地域に滞在する。多くの人は済州市よりも、涯月(エウォル)、翰林(ハルリム)、挟才(ヒョプチェ)、月汀里(ウォルジョンリ)などの小さな村に惹かれる。自転車やレンタカーで移動し、島をゆっくりしたペースで巡ることこそ、済州での1か月暮らしを象徴するイメージだ。

夢と現実のあいだで

実際に体験した人々の感想は、夢が示すものよりもずっと複雑だ。最初の1週間は、まさに想像していた通り。しかし2週間目になると、現実が少しずつ姿を現し始める。 

まず人々が気づくのは生活費の高さだ。済州は観光地である前に、まず島である。あらゆる物資が船か飛行機で運ばれてくるため、日常的な物価はソウルより高いことも多い。公共交通機関も限られているため、レンタカー代もすぐにかさんでいく。宿泊費込みで1か月の出費は通常150万ウォンから300万ウォン以上になる。そして次第に現実の重みが戻ってくる。ひとりで来た人の場合、最初の1週間の高揚感は、2週間目には静かな孤独へと変わっていくことが多い。